気まずい告白
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 即断即決があたしのモットー。悩むなんて時間の無駄。なのに、今回ばかりはすぐに答えが出せなかった。相反する気持ちがあたしの中に内在していて、どう答えたらいいのかわからない。
 自分で自分の気持ちが分からないなんて、今までのあたしにはなかったことだ。いつだってあたしは自分が何をしたいかをはっきりと知っていたし、それを行動に移すことに躊躇しなかった。
 でも、今回ばかりはどうすればいいのかしら? 分からない。
 すごく嬉しいという気持ちと、すごく不安だという気持ちが混在している。嬉しい気持ちに従うべきなのか、不安な気持ちに従うべきなのか。

 今日はキョンと話していない。昨日キョンに言われたことを思い出すと何を話したらいいのか分からなくなったから。キョンも気まずそうにするだけで、あたしの方を向こうとしない。
 ただ背中を見つめるだけなんて、何だか寂しい。
 放課後もずっとこのままなのかしら、そう思うと悲しくなってきた。こんなのは嫌。
 あたしがはっきりさせれば、今まで通りに戻るのかしら。ううん、戻れないわね。あたしがどちらを選択しても、きっと今までのあたしたちとは何かが変わる。
 そして、きっとSOS団のみんなとの関係も少し変わってしまう気がする。あたしはそれが怖い。

「ハルヒ」
 放課後、文芸部室に一緒に向かうときになって、ようやくキョンが話しかけてきた。
「昨日、俺が言ったことだけどな……」
 その言葉に緊張が走る。今答えを求められたら、あたしは何を言えばいい?
「もし、お前が答えたくないなら今のままでいいぜ」
「へ?」
 頭1つ分高いところにあるキョンの顔は、とくにこれと言った表情を見せていない。いつも通りね。
「……キョンはそれでいいの?」
「今のまま何も変わらない。それでもいいんじゃないかと思う」
 本当にそう思っているのかしら。わからない。
「悩ませちまって悪かったな。あんまりお前が大人しいとこっちの調子が狂っちまう」
 そう言って笑ってみせるキョンの顔を見て────
 なあんだ、答えなんて簡単に出るんじゃない。
 たまにしかみせないこの優しげな表情を離したくない。あたしのせいで悲しい顔をさせたくない。

 そうと決まれば、さっさと昨日の返事をしなくちゃね。
 即断即決があたしのモットーなんだから!


  おしまい。
キョンサイド