どこがいいの?
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「好きだ」
「何が」
 おい、人の決死の告白を「何が」って返す奴がどこにいる。
「……お前をだ、ハルヒ」
「ふうん、あたし……ってあたし!? ええ!? 嘘でしょ!?」
「嘘じゃねえよ。今まで言えなかった。言ったらお前を失うかもしれないと思うと怖かった」
「嘘……」
 お前人の話を聞いているのかよ。嘘じゃねえって言ってるだろ。
「あ、うん、でもあんたいつもあたしの言うこと反対してばかりだし……」
 そりゃお前が無茶ばかり言うからだ。俺しか止める奴もいないだろ。それでもお前の発案はあまり無茶苦茶じゃなきゃ俺も楽しんでるんだぜ。
「いつも仏頂面だし……」
 それが普通の顔なんだよ。悪かったな。
「ねえ、あたしのどこが好きなのよ。言ったら信用してあげるから」
 なんだって? どこがっていきなり言われてもな。
「そうだな……」
 ありすぎて困る、なんて言ったらこいつはどんな顔をするだろうか。
「まあ最初は見た目だったかもしれん」
 そう言うと心持ち視線が冷たくなった。まあ聞け。
「今はそれはあんまり関係ないな」
 いや、関係なくはないのだがそう言っておかないと後が怖い。
「やってることは無茶苦茶だが、お前は自分がやりたいことに向かって必死に一直線で進んでるだろ。そう言う真っ直ぐなところが好きだ」
「……」
「それに意外と優しい」
「意外と、は余計よ」
「すまんな」
「他には?」
 他にって。何個あげたら気が済むんだろう。
「ポニーテールが反則的に似合うところ」
「それって見た目の範疇じゃないの」
「俺にとっては違うんだよ」
「何よそれ」
 そう言ってクスクス笑う表情に、鼓動が早くなる。
「で?」
 でって。まだ何か言えと。まだあると思いこめる自信が羨ましいね。それにそろそろ本気で恥ずかしい。
「……なんでそんなに自信家なのか知らないが、そういうとこも嫌いじゃないな」
「消極的ね。まあいいわ。他にはあるの?」
 何故そんなに聞きたがるのだろう。ああ畜生、これ以上個別になんかあげていられない。
 俺は思わず笑い出した。
「ちょっと何笑ってるのよ!」
「いや、すまん。もう完敗だ」
「なんの話?」
「全部だよ、畜生」
「全部?」
「そう、見た目もその無茶苦茶な性格も向こう見ずな行動も何もかも、全部ひっくるめてハルヒが好きだ」
 いっちまった。恥ずかしい。穴掘って潜っていいか?
 言われたハルヒも恥ずかしいらしく真っ赤になって黙り込んでいたが、やがて顔が赤いままニヤリと笑いやがった。何を企んだ。
「いいわ、合格!」
 合格て。試験だったのかよ。合格ってことは一応俺の告白が容れられたってことでいいのか。
 ホッとした俺を見てハルヒは笑った。

「全部好きだけどな、俺はやっぱりお前が笑ってる顔が一番好きだ」
「……バカ。恥ずかしいからそれ以上言わない!」
 言わせたのはお前のくせにな。まったく我が儘な団長様、いや彼女だぜ。やれやれ。


  おしまい。