ホワイトデー前日保守
短編 | 編集

ハルヒ「ねえ、キョン」
キョン「何だよ」
ハルヒ「明日何の日か分かってるわよね」
キョン「明日? ああ、県立高校入試だよな。俺たちは自宅学習だ」
ハルヒ「本気で言ってるの?」
キョン「他に何かあったか?」
ハルヒ「このアホンダラゲ!!!」
キョン「いってぇ! って、何も怒って帰ることねーだろ!」

古泉「…………バイト行ってきます」
みくる「行ってらっしゃいですぅ~」
長門「ユニーク」


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キョン「もしもし?」
古泉『どうも。何故電話したか分かっていますね』
キョン「お前にバイトが入ったってことは、例のへんてこ空間が出来たってことだろ」
古泉『お分かりならいいのですが。では、何故閉鎖空間が発生したのかはお分かりですか』
キョン「問答する気はねえよ。ホワイトデーを忘れていたからだろ」
古泉『意外ですね。覚えていらっしゃったとは』
キョン「始めから忘れてねーよ。いちいち確認してくるから忘れたふりしてやっただけだ」
古泉『それで僕のバイトが増えるのですから、もう少し自重なさってください』
キョン「あー、まあ、それは悪かったな」
古泉『分かって頂ければ結構です。明日、必ず仲直りしてくださいね』
キョン「言われなくてもそうするさ。……じゃあな」

キョン「また電話……ハルヒか。もしもし?」
ハルヒ『明日の不思議探索、中止だから』
キョン「中止? 何でだよ、急に……」
ハルヒ『うるさい! いいから中止って言ったら中止なの!』
キョン「おい、待てよ! って、切りやがった。かけ返すか」
 『……電波の届かないところにおられるか、電源が入っておりません』
キョン「マジかよ……」

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キョン「……眠れねえ。何時だ?」
キョン「0時過ぎか……」
キョン「…………」
キョン「どうせ眠れねえなら起きるか」


ハルヒ『あんた今何時だと思ってるのよ!』
キョン「電源入れてくれてたか。いや、悪い。寝てたのか?」
ハルヒ『起きてたけどさ。下らない用事だったら殺すわよ』
キョン「それは勘弁してくれ。あのな、明日の不思議探索が中止だったら、今から会えないか?」
ハルヒ『はあ? だからあんた今何時だと思ってんのよ! こんな時間に出かけろって言うの?』
キョン「こんな時間で悪いが出てくれると嬉しい。そんな遠出はさせねーから」
ハルヒ『……どこに行けって言うのよ』
キョン「お前の家の前」
ハルヒ『へ? あたしの家?』
キョン「ああ、今お前の家の前にいる」
ハルヒ『そう言うことは先に言いなさーい!!』


ハルヒ「何でわざわざこんな時間にこんなところまで来るのよ」
キョン「不思議探索を中止にするからだ。用事があるんだろ?」
ハルヒ「う、用事は……ないけど……」
キョン「? じゃあ何で中止なんだ」
ハルヒ「そ、それは……」
キョン「まあいい。事情があるんだろ。それより、渡したい物があるんだが」
ハルヒ「え?」
キョン「探索のときに渡そうと思ったんだが、会えないなら今渡したいと思ってな」
ハルヒ「え? え? だって、キョンは……」
キョン「昼間は悪かった。本当は覚えてたんだが、忘れたふりをしてただけだ。出来ればサプライズにしたかったってのもあってだな」
ハルヒ「覚えてたんだ」
キョン「1ヶ月前、ありがとな。義理でも嬉しかったぜ。なんせ親と妹くらいしかもらうアテがなかったしな」
ハルヒ「ま、まあ当然よね! 古泉くんはともかく、あんたはどうせSOS団のイベントがなければチョコ獲得数最下位確実なんだから!」
キョン「痛いとこをつくなよ。まあ、それで、たいしたもんじゃないが受け取ってくれ」
ハルヒ「し、仕方ないわね! そこまで言うなら受け取ってあげるわよ!」
キョン「ああ、そうしてくれ。……じゃ、俺帰るわ」
ハルヒ「あ、ちょっと待ちなさい! みくるちゃんと有希には?」
キョン「え? ……ああ、まあ、次に会ったときに渡すさ」
ハルヒ「何よ、渡しに行かないわけ?」
キョン「まあ、もう遅いしな。ハルヒも遅くまで付き合わせて悪かったな」
ハルヒ「べ、別にいいわよ、起きてたし、明日休みだし……そうだ! やっぱり中止はやめるわ!」
キョン「ややこしいこと言うな。中止をやめるって、探索か?」
ハルヒ「そうよ! 明日9時に北口駅前集合! 遅刻したら……」
キョン「罰金、だろ?」
ハルヒ「分かってるじゃない! じゃ、おやすみ!」
キョン「ああ、おやすみ」

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ハルヒ「遅刻! 罰金!」
キョン「いつも言っているが、時間には間に合ってるだろ」
ハルヒ「だったらもっと早く来てみなさいっていつも言っているでしょ!」
キョン「やれやれ……ところで朝比奈さん、これをどうぞ。長門も受け取ってくれ」
みくる「ありがとうございましゅ~」
長門「ありがとう」
古泉「僕からもこれを」
みくる「2人とも、ありがとう」
長門「感謝の意を表したい」
ハルヒ「古泉くん、ありがと!」

古泉「ところで、あなたから涼宮さんにはないのですか?」
キョン「ああ、もう渡したからな」
古泉「はて、あなたは最後に来たはずなんですが、いつの間に渡したんでしょう」
キョン「(しまった)気にするな」
古泉「涼宮さんの機嫌はすこぶるよろしいようですから、僕は文句ありませんけどね」
ハルヒ「ほら、さっさとクジを引きなさいよ!」
古泉「すみません、では」
キョン「そう急かすなよ」

ハルヒ「あんたと2人ってめずらしいわよね」
キョン「そうだな、どこに行くんだ?」
ハルヒ「とりあえず公園の方に行きましょ!」
キョン「そんなところに不思議が転がってるもんかね」
ハルヒ「そんなの行ってみなくちゃ分からないでしょ!」


ハルヒ「ねえ、みくるちゃんと有希に何をあげたの?」
キョン「有名店お取り寄せスイーツ(笑)ってやつだ」
ハルヒ「他には?」
キョン「……それだけだ。お前はもう食ったのか?」
ハルヒ「え、まだだけど……。でも、あれ? じゃあ、何で?」
キョン「だいたいな、今日渡せなくなりそうだからって、わざわざあんな時間に会いに行くか? 普通」
ハルヒ「……え?」
キョン「何が何でも14日に渡したかったんだよ。お前には、な。察しろよ」
ハルヒ「え? え?」
キョン「だから、今、お前が首から下げてるそれは、お前にしかやってねーよ」
ハルヒ「あんた、顔赤いわよ」
キョン「お前も人のこと言えるかよ」
ハルヒ「うるさいわね! な、なんかすごく恥ずかしいじゃないの……」
キョン「俺だって恥ずかしい。……なあ、ハルヒ」
ハルヒ「何よ」
キョン「似合ってるぞ、それ」
ハルヒ「っ! もう、これ以上恥ずかしいこと言うの禁止!」
キョン「禁止かよ」
ハルヒ「そうよっ! これ以上言われたら心臓が保たないわよ」
キョン「だがな、お前が今やってることの方がずっと恥ずかしいと思うんだが」
ハルヒ「うるさいわね、あたしがいいんだからいいの!」
キョン「歩きにくい、腕に絡むな!(当たってるっつーの!!)」
ハルヒ「今日くらい、いいでしょ! 団長命令!」
キョン「今日だけでいいのか?」
ハルヒ「……じゃあ、これから2人のときはずっと! 団長命令なんだから、聞かなかったら罰ゲームよ!」
キョン「やれやれ、分かったよ。罰ゲームは嫌だからな」


  終われ。