【頂き物】正夢? キョンサイド
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RS Succession」のGLORIAあまぎ様が、ミニSS正夢?のキョンサイドを書いてくださいました。
話もキョンのモノローグも違和感がないですよ。
てか俺よりずっと上手いので悔しいっ!でも(ry
まあここで俺がごちゃごちゃ言うよりとにかく読んでくださいってことですね。

掲載許可を頂きましたので、公開させて頂きます。
というわけで、あまぎ様、本当にありがとうございました。

 今日もいつもと変わらない。
 変な夢を見たからと言って、その夢の中身もほとんど忘却の彼方に飛んで行ってしまったようで、思い出そうとして喉元まで来てるのに、という感覚は多少あるものの、もう気にしない感覚になってしまっているのだから別段、普段の行動に些少たりとも影響が出るはずもなく、俺はいつも通り、いつもの時間に北高の強制ハイキングコースを踏破しようとしていた。
 この一年の鍛錬のおかげで充分に満喫できるようになったものだから中学時代同様、遅刻しないぎりぎりまで寝ることが日課になってからずいぶん経つ。
 いつからだったかなんて忘れてしまったんだがな。
 というか、おそらく徐々に遅くなっていったものだから気がつかなかったんだろうぜ。
 それが今日のように雨が降っていたからと言って早く出るなんて真似なんぞ俺がするわけがない。
 とと、おや?
「いったあ……」
 ふと前を見てみれば、見知った奴がしゃがみ込んでいた。
 まあ、俺がこいつを見間違えるわけはないわな。それが後ろ向きだろうと。
 しかし何だ。
 落ちた傘を拾うあいつを追い抜いていく他の北高生たちはチラリと目をくれるみたいだが誰も手助けをしようとはしないというのは何とも気分が悪いもんだね。
 まあ日頃の行いと言ってしまえばそれまでなんだが、それでも少しは心配してやる奴がいないのかよ。
 なんとなく、数年前に聴いた槇原敬之の『Are You OK?』を思い出してしまったね。
 せめて俺くらいは声をかけてやらないとな。 
 そいつが軽く自分の身体の水気を払い、改めて傘を差したとき、後ろから声をかけてやった。
「ようハルヒ。珍しいな、お前がこんな時間に登校とは」
「なによ、あたしがたまに遅く出たら悪い?」
 あーやっぱり不機嫌になってるな。まあ仕方ない。俺だってコケて誰も構ってくれなきゃ不機嫌になるさ。
 だからここは全く気にとめてやらない方がいいだろう。ん?
 少し視線を下に落とすと──
 てことで、ポケットから、
「おい、膝から血が出てるぞ。拭けよ」
 ハンカチを差し出してやる。まだ今日は使っていないから綺麗だしいいだろう。血で汚れるつったって相手がハルヒなら別に構わん。
 むろん、長門でも朝比奈さんでもOKだ。ただ古泉だけはちと勘弁してもらいたいと思うのは男のサガってやつだ。おっと、別に俺はあいつを嫌っちゃいないぜ。むしろ、友人としてであれば好意を抱いていると言ってもいいだろう。
「何だよ、それまだ使ってないから汚くはないぞ」
 どうにもハルヒが躊躇っているように使わないので、一応補足してやった。
 ……変だな……妙な既視感を感じるぞ……つい最近、こんなことがあったような……
 そこで思い出した。そう、今朝の夢だ。同じように転んだハルヒに声をかけて、同じようにハンカチを渡そうとして……
 次の瞬間、ハルヒの顔が真っ赤になった。
 やれやれ、てことは何だ。あれは軽い閉鎖空間の夢ってことか?
 しかもこうなった時のハルヒの望みがあれかよ。完全な羞恥プレイじゃないか。
 まあ、ハルヒが先に表情に出してしまったんで、おかげで俺は即座に冷静になれたんだがな。
 ハルヒの表情に変化が、あと0.5秒遅かったら俺が思いっきりぶんぶか頭を振ってしまったことだろう。
「だ、大丈夫よ! ハンカチ汚れるからいいわよ!」
 おいおい、夢と同じような返事じゃないか。
 もしかして期待してるってことか?
 俺は怪訝な顔をしてハルヒが突き出してきたハンカチを受け取った。
「珍しいな、お前が遠慮するとは」
「べ、別に遠慮してるわけじゃないわよ、たいした怪我じゃないってだけよ! 」
「まあそれなら早く学校に行こうぜ。遅刻しちまう」
 わざと無関心を装って俺は坂道を登り始める。
 さすがに現実となれば公衆の面前であんな真似はできん。
 とと、付いてこないな?
 ふと振り返れば、ハルヒは虚を突かれた表情でその場に立ちつくしていた。
「おい、どうした? 根っこでも生えたんじゃないだろうな」
「うるさい! このバカキョン!」
「うわっ! いってーな、おい!」
 照れ隠しか不機嫌なのかがさっぱり分からん掛け声とともに見事俺の顔面に命中したのはハルヒの鞄だ。その勢いで俺はひっくり返った。
 ぐ……雨の日だけに背中が一瞬でずぶ寝れだなこりゃ……
 当のハルヒは俺を追い抜きそのまま振り返らずに早足で歩く。
 慌てて立ち上がり俺はハルヒの後を追う。
 足早っ! 陸上部が是非にとスカウトしたあのスタートダッシュも見事だったが、この速さなら競歩でもいけそうだ。
 ん? どんな夢だったかだと?
 まあ何だ……その……夢ではハンカチを返した後、俺が跪いて傷を舐めて癒してやったなんて信じられるか?
 つ、つまり、あの時の俺は俺じゃなくてハルヒの望む俺だってことだ! なんたってハルヒには世界を都合よく改変できる力があるわけだからな!
 ましてやハルヒの夢の中な訳だから俺は抗えん! 
 ただそれだけだ!
 って、今、「実はやりたかったんだろ?」とか思わなかったか?
 そ、そんなわけがないだろう!!!



 おしまい。



最後の素直じゃないキョンの焦りがナイスw
GLORIAあまぎ様、本当にありがとうございました!