キョンがハルヒを脱がすSS 1st Sequence ~脱衣オセロ大会~
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真宮如人様に、罰としてキョンがハルヒを脱がすSSを書けと言われていたのですが、
ネタが思いつかずに某所で愚痴ったら、いつものように?猪さんと秋人さんが盛大にネタだしをしてくださいましてwww
というわけで、出されたネタからいくつか書くことに。
このネタは猪様提供ですwwww

まあ、脱がせてないけどな

 去年もやたらと暑かったが、それに輪をかけるように暑い日が続く7月だった。期末テストも終わり、返却されたテストの点数に暑さも吹っ飛びそうかとも思ったのだが、あいにく冷や汗なのか暑さで出た汗なのか解らないくらい暑いってのはちっとも変わらない。それでも去年よりいくらかはマシなのだが、果たして母親が俺を予備校に放り込むことを諦めてくれるのかという疑念を払拭することができるってほどでもないしな。
 なんてことを考えつつも、やっているのは結局いつもと変わらず文芸部室に入り浸って、朝比奈さんの淹れてくれた甘露を飲みつつ古泉相手にゲームをしてるってだけだった。
 何となく選択したゲームがオセロだったのは意味がない。それを言い出したらここで古泉とあれこれゲームしていること自体に意味がない。
 長門は相変わらず読書中。ハルヒは先ほどまで団長席でネットサーフィンをしていたようだが飽きたのだろう、珍しくオセロに興味を示して来た。
「いつもそうやってゲームやってるけど、面白いの?」
 面白いかと聞かれると悩むな。古泉がもう少し強ければ面白いかもしれんが。
「これは手厳しい」
 古泉は薄ら笑いを浮かべたまま、肩を竦めてみせる。しかしこいつは頭がいいくせに何でゲームに弱いのかね。
「ふうん。オセロなんて小学生以来だわ。あんまり面白くもなかったし」
 お前はコンピ研とのゲーム対決で、もっと解りやすいのが好きだとか言ってなかったか? この上なく解りやすいゲームだと思うぞ、オセロは。
 ハルヒはあまり興味なさげに、俺の白星ばかりが並んでいる勝敗表を手に取った。
「なにこれ、ほとんどあんたが勝ってるじゃない。古泉くんがあんたに負けるとも思えないんだけど」
 そうは言っても、これが現実なんだから仕方ないだろうが。と言った俺の言葉など当然のように右から左へと追いやったハルヒは、突如何かを思いついたときにするいつもより5割ほど輝きを増した目で宣言した。
「そうだわ、SOS団オセロ大会をするわよ!」
 待て待て、何を言っていやがる。
「だってやっぱり古泉くんがこうも負け続けるって不思議じゃない? だったら、きっと一番強い有希だって負けるかもしれないじゃない」
 いや、それはないだろう。長門なら、まだ解析出来ていない8×8のオセロだって完全な手を知っているだろう。先手か後手かどっちが有利か聞いてみたいもんだな。
「いいじゃないの、どうせすることないんだし。優勝者には一日団長の権利をあげるわ!」
「いらん、そんなもん」
 どうせ俺が優勝したところで、ハルヒが俺の言うことを聞くとも思えん。それならこの暑さと正反対の懐具合を少しでも潤わせるものを賭けたいじゃないか。
「不健全よ、そんなの。でも何か賭けないとおもしろくないし……」
「……勝者が敗者の着衣を1枚剥奪する権利を得る」
 な、長門さん? 突然なにを言っているんでしょう?
「そういうゲームがあると聞いた」
 それは脱衣麻雀とかその辺のゲームか? って誰だ! 長門にそんなもん吹き込んだのは!
「以前の不思議探索で、コンピュータゲームによる遊戯施設を訪問した」
 以前の探索? 確か俺は朝比奈さんと二人だったよな。てことは長門と古泉とハルヒ……そのメンバーで行き先を決定するならハルヒ以外にあり得ない。
「お前は人に真面目に探せといいながら何でゲーセンなんかに行ってるんだ」
「あら、真面目に探していたわよ! テレビであるゲームに幽霊が取り憑いてるってやってたから検証しに行っただけじゃないの」
 どんな番組だかしらんが、いちいち鵜呑みにするな。
「そんなことより、有希の提案はおもしろそうじゃない。じゃあ、脱衣オセロ大会をするわよ! トーナメントでね! 勝者は敗者の服を脱がすのよ。優勝者は1日団長の権利を進呈するわ!」
 するわよ! じゃねえ! だいたいSOS団は3人が女子だし、いろいろとまずいだろ! 金よりよっぽど不健全じゃねえか!
「あら、負けなきゃいいんじゃないの」
 いや、確かに長門が負けるとは思えないし、ハルヒもその気になれば強いだろうが、問題はやはり朝比奈さんじゃないのか?
 俺の指摘にハルヒは何も言わず、ただにやりと笑った。こいつ、確信犯だ。
「まあ落ち着いて」
 俺の怒りを察したのか、古泉が割り込んできた。
「トーナメントですから、負けることは1度しかありません。夏とはいえ、脱いでも差し支えない部分を選択すれば問題ないわけですから」
 確かにそうだな。上履きでも脱がすか?
「上履きは禁止! 面白くないじゃない!」
 面白さを追求するな! いくら1度しか脱がないといっても、夏で薄着だから……。
「あら、脱ぐんじゃなくて脱がすのよ。有希も剥奪って言ったじゃない」
 どんなゲームだよおい!

 結局俺が何を言ってもハルヒの決定が覆るわけもなく、SOS団脱衣オセロ大会なんて不健全なものが開催されることになっちまったってわけだ。

 さて、トーナメント表は完全に運なのか、それとも無意識な作為が介入したのかはわからんが、長門vs古泉、朝比奈さんvs俺、ハルヒは不戦勝となった。朝比奈さんと俺のどちらか勝った方が、ハルヒと勝負することになる。やっぱり、脱ぐのが嫌で無意識に逃げたのか?
 それはともかく、まずは長門vs古泉なんだが、もう語るまでもないな。
 白の古泉は黒の長門にわずか9手で敗れた。9手で白がなくなるってのは長門が凄すぎるのか、古泉が弱すぎるのか。
「裏犬系定石」
 ってなんだ? 長門。
「じゃあ有希! 遠慮することないわ、古泉くんを剥いちゃいなさい!」
 いや、1枚脱がすだけだろうが。剥くって無理だろ。
 長門は黙って古泉のネクタイに手をかけた。1枚ってネクタイか。確かにこれをはずさずに脱がすのも難しいしな、いきなりズボンとかに行かなくて何となくホッとする。野郎の下着なんかわざわざ見たくもない。
「うーん、1枚って限定しちゃったから仕方ないけどさ。ネクタイじゃイマイチ面白みに欠けるわよね」
 ハルヒだったらネクタイ無視してシャツをひん剥くか、ズボンを下ろしかねないよな。もし次、俺が朝比奈さんに勝っちまったらハルヒと対戦するのは俺なわけで……。
 負けた方が無難かな、と思っちまったのだが、そう簡単にはいかなかった。なんせ、手加減したつもりでも負けるのが難しかったんだからな。
 いや、決して朝比奈さんの衣服を一枚はぎ取るなんてことをしてみたかったわけではない。本当だ! だいいち、ここで負けたって朝比奈さんがそんな無体なことをするとも思えないし、これがハルヒだと何されるか解ったもんじゃないんだから、負けた方が俺にとっては都合がいいんだ!
 だからそんな怯えた目で見ないでください、朝比奈さん!
「すみません、ではエプロンを取らせて頂いていいですか」
「……は、はい……」
 肉食獣に追いつめられたウサギのような目で俺を見つめる朝比奈さんは、それでも消え入りそうな声で返事をしてくれた。とりあえずメイド服のエプロンだけを取るなら、そんなに問題はないだろう。
 勝者が敗者の服を取る、ということなので俺が脱がさなければならないわけだが、エプロンだけなのに背徳的な気分になるのは何故だろうね。
「じゃあ、すみません、失礼します」
 何故か緊張しながら、朝比奈さんの背後に回りエプロンのリボンをほどく。リボンさえほどけば簡単に脱げるので、するりと肩からエプロンを落として、完了。その間、朝比奈さんはどういうわけか真っ赤になってうつむいてしまい、俺もなんだか脱がすという行為が妙になまめかしいものに感じてしまうのだが、頭の中がダメになる前にいつの間にか不機嫌にシフトしたハルヒが乱入してきた。
「ちょっと、さっさと脱がしたんだからおしまい! 何鼻の下のばしてるのよエロキョン!」
 誰がエロキョンだ、だいたいこのルールを作ったのはお前だろうが!
「……みくるちゃんはあたしが脱がそうと思ってたのに」
 なるほど、不機嫌の理由がそこか。俺が納得しかけたとき、何故か古泉が肩を竦めたのが目の端に写った。何だその思わせぶりな態度は、何が言いたい。

 そんなことはどうでもいいからさっさと勝負するわよ、とのハルヒの言葉で次の試合が開始された。俺vsハルヒ、ということになるのだが、まあハルヒに勝てるとも思えないしな、と俺は思っていた。
 しかし予想に反してなのだろうか。それとも、よく考えたら予想通りなのだろうか
 なんと、俺はハルヒに勝ってしまった。
 例のコンピ研とのゲーム対決で猪突猛進戦法をしたくてうずうずしていたハルヒはゲームが変わってもあまりその戦略は変わらないらしく、とにかく場当たり的に多くめくれるところを取ろうとするのみだ。でもな、ハルヒ。オセロってのは、終盤までは一見少ない方が、後で逆転しやすかったりするんだぜ。
 というわけで終盤で一気に逆転勝ちをしてしまったというわけなのだ。
 しかし、俺がハルヒを脱がさなければならないのか? ハルヒが自分で作ったルールだし、仕方がないと言えば仕方がないが、負けるのが何より嫌いな上に罰ゲームまであるとなれば、さすがに不機嫌にもなるに違いない。さて、どうしたものか。
 などと考えていると、団長様から一喝される。
「いいから、さっさとしなさいよ!」
 と言いながら頬を染めるな! 余計にやりにくいじゃないか!
 季節は夏。ハルヒは夏の制服しか着ていない。さすがにハルヒが相手とはいえ、女の子を下着姿に剥くのは気が引ける。
 おい、そこ、本当は見たいだろとか言うなよ? まあ、俺も健康な高校男子だからそりゃ興味がないとは言わないが、古泉もいるわけで、数が少ないとはいえ人前だからな。ハルヒはあまり気にしないかもしれないが、俺が気にする……って俺は何を言っているんだ?
 そういや長門は古泉のネクタイをはずしていたな。じゃあ俺は……
「ハルヒ」
「なっ何よ」
「リボンはずすぞ」
「へ?」
「だから、制服のリボン。それなら問題ないだろ」
「えっ? あ、リボン? うん、リボンね……」
 一瞬何を言われたか解らなかったようだが、しかしなんだか残念そうに見えるのは気のせいだよな?
 蝶結びのリボンは引っ張っただけで簡単にはずれた。
「はいよ」
 はずしたリボンをハルヒは何故か不服そうに受け取った。たぶん、負けたのが悔しいのだろう。

 そしてオセロ大会の決勝戦は俺vs長門となったのだが、当然俺が長門に勝てるわけもなく、さすがに9手とはいかなかったが、結局途中で全面白になり長門の勝利で終わった。
 長門は気を遣ったのかそう言うものだと思ったのか、古泉と同じように俺のネクタイに手をかける。いつも自分ではずしているネクタイを女の子にはずされるというのはなんだか照れくさいな。
 そうして長門は俺のネクタイをほどきかけ、何故か目の端に不機嫌そうな、いや、あれは寂しそう? なんでだよ、ハルヒ……?

 そんな感情も目の前の長門も目の端のハルヒも部室も何もかもがぐにゃりと歪んでごちゃ混ぜになって…………




 ────reboot.