【頂き物】石南花 モカろう様より頂きました。
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「石南花」はすでに閉鎖されているのでこちらで公開させて頂きます。

「いてええええええ」
のっけから俺の絶叫で申し訳ないのだが、いたしかたないことなんだぜ。
何も悪いことはしたつもりもないし、なのでなんの罪悪感も感じていない。
そもそも原因はおれじゃない。
長門がな・・・・


「お―す。長門いるか?」
昼休みになり、腹をすかしたオオカミの如く、俺は弁当を鞄からひったくるかのように取り出し、文芸部室へと足を向けた。
ここ最近、昼休みになるやいなや長門と飯を食べに文芸部室に来ている。
理由は?なんて聞かれると言葉に詰まるんだが、あえていうならば落ち着いて食事ができることだろう。
それがどんなに貴重なことなのか俺はここ数日の谷口の態度をみておもいしったわけである。
アイツは、もう机をくっつけ、俺の彼女の話を聞けと言わんばかりののろけ話。
聞いてるこっちの身にもなってほしい。
正直、うざいです。
「いる」
相変わらずの平坦ボイスなんだが、それがどこか浮いた感じに聞こえたのは気のせいだろうな。
俺は弁当を机の上に広げ、箸を取り出した。
「いただきます」
なんて律儀にも言うのはせめてもの義務であり、癖でもある。
うちでは、飯を食う前に言わないと飯が食えない。
それを発案したのは、母親であり、それを受け継がんとばかりに口うるさいのは妹であったりもする。そんなこんなで儀式を終了させ、箸を進めようといざ行かんとした拍子に長門がビニール袋からパンを取り出すのが見えた。
いつもは、コンビニ弁当のようなものなのに・・・と不思議におもいながらも新鮮さを感じずにはいられない。
「おお、チョココロネか」
懐かしきかなチョココロネ。
これは妹の大好物で、それを買いに駅前まで夜に自転車を必死で漕いだことがある。
なので俺はあまりいい思い出はどちらかと言えばないのだが、それでも懐かしさを感じるのは俺が年を食ったからなのか。それともただ単に久しく食べてないからなのかは分からん。
「これ、どうやって食べるの?」
長門が差し出しながら聞いてくる。
「ん~むずかしい問題なんだそれは」
俺はひとまずそれを受取、口の前で構えて見た。
チョコが出てる部分からでもいいんだが・・・
それだと下の方から食ってもいい気がする。
でも上から・・・なんていう無限ループが続きそうなので、長門にはこう言っておくのが無難ってもんだろうよ。
「ん~好きな方から食えばいいんじゃないか?」
凝視した後に、
「そう」
首を顕微鏡レベルで傾けた。
そこで、バーンとまるで太鼓のような音を鳴らしながらハルヒが部室の扉を開けた。
「キョンいる?」
「いません」
俺としては会いたくないのでこう答えるのは基本だ。
こいつがいると谷口より厄介なわけで、文芸部室に来た意味がない。
「ちょっと、いるじゃない。ねぇキョ・・・有希、それチョココロネよね?」
こくとうなずく長門。
「いい、それは上から食べるものなのよ。チョコが最初よ」
そう真面目な顔で言われてもな。
高校生にもなってそれだと、某アニ・・・いやなんでもない。
「煩いわねキョンは黙って。いい、上からよ」
「了解した」
チョコの上にかぶっている、ビニールをはがし、長門が口をつけた。
「はむ」
そう聞こえたのは聞き間違いじゃないと信じたい。
その効果音の効果は抜群で、愛くるしさを感じた。いや、感じずにはいられなかったんだ。
「長門」
チョココロネをチョコから食べると口の周りにチョコがつくのは必然的であり、長門に関してもそうだ。
それを宇宙的トンデモ能力でどうこうされても、非経済的だろうし。
「チョコ、ついてるぞ」
俺は長門の唇の横についているチョコを拭うと、そのまま口に入れた。
あ~甘い。
米主体の弁当にこれは合わないわな。
なんて暢気なことを考えていた俺にハルヒのハイキック炸裂。
痛みに叫ぶよりも早く、ハルヒは馬鹿キョンと言って部室から飛び出して行った。
ここで冒頭に戻るわけだが・・・なにかしたんだろうか?俺は?
「長門おしえてくれ」
そう言った俺に長門は、
「私の勝ち」
そうとしか言ってくれなかった。


そのあとで、ハルヒが
「キョン、上から食べればいいのよね!」
チョココロネ片手に文芸部室に戻ってきたのは悪夢だと信じたい。
ああ、きっとSOS団に入ったときからの宿命だったんだとしみじみと思う。
そんな九月十八日の昼下がりだった。



モカろう様、ありがとうございました!