携帯
ミニSS・小ネタ | 編集

「お前、何見てやがる!」
 放課後の文芸部室で毎日恒例となったゲームを古泉としていると、ハルヒが俺の携帯をいじってやがった。さっきからハルヒは俺の携帯を気にしているので、ロックを掛けていたはずだ。何ではずれてるんだよ!
「パスワード? そんなの一発で当たったわよ。単純なのにしてるからじゃないの?」
 言っておくが、パスワードは単純でもなければ、誕生日とか類推出来るものでもない。それにもかかわらず一発であてたってことはアレか。
「偶然ということのようですね」
 ハンサムスマイルに少し困ったような表情を加えた古泉が口を出してきた。うるさいお前は黙ってろ。だいたい“偶然”なんてこれっぽっちも思ってないくせによく言うぜ。いや、それより携帯だ。
「返せよ。勝手に見るな!」
「何よ、見られて困るものでもあるの?」
 ニヤニヤ笑いながらも、ハルヒは俺の携帯を離さない。見られて困るもの……正直言って、ある。だが、それをハルヒに感づかせるわけにはいかない。
「別にねーよ。でも勝手に見られるのは誰だって嫌だろ」
「じゃ、携帯見せなさい。これでいい?」
 相変わらずの笑顔で俺に聞くが、何で命令形なんだよ。
「見せてください、だろ。どっちにしても却下だが」
「ケチね」
「勝手に見ようとした奴に見せるほど心が広くないんでね」
 俺はそう言うと携帯を取り上げた。まったく、ロックかけても破るとは、とことん困った奴だな。パスワード変えても意味ないんだろうな……。
「何でそんなに見たいんだよ」
「……別に」
 俺が聞くと、何故かハルヒは顔をそらした。何なんだよ、一体。
「見ても面白いもんなんかねーぞ。履歴もメールも、SOS団かクラスメイトか親くらいしかねーからな」
 それにアレだって、ハルヒが見ても面白いはずはない。ただ、その存在を知ってどう思われるかは分からんが。
 わかったわよ、つまんない、などと言って、ハルヒはネットサーフィンに戻った。

 ああ、しかしアレが見つからなくてよかった。見つかっていたらハルヒはどんな反応をしただろう。

 俺は携帯を操作して、アレ……“haruhi”フォルダを確認した。よし、無事だな。
 え? なんで“mikuru”フォルダみたいにパソコンじゃないのかって? それじゃ、家
に帰ってゆっくり見ることができないからに決まってるだろ。


  おしまい。