ケーキ屋にて バレンタイン編
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涼宮ハルヒの憂鬱】涼宮ハルヒを語れ その79 (“ 【 ”がないのは仕様)
646 名前: 名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日: 2008/02/09(土) 22:40:39 ID:hqmeJRqV
古泉にいいバイトがないかと持ちかけるハルヒ
それでケーキ屋に収まりついたわけだけどキョン谷木田が店にやってくる電波が来た。


 我らが団長様がバイトを始めた理由は俺はよく知らないが、古泉が紹介したらしい。
 そろそろあいつの顔の広さを疑ってみてもいい頃だと思うのだが、相変わらず都合のいいことしか見ないハルヒは、嬉々としてその異常としか思えない好条件のアルバイトに食いついていた。しかし、なんでバイトなんか始めたのかね。また朝比奈さんのコスプレ衣装でも買う気か。
 とにもかくにもそう言うわけで、週に2回ほど団活は自主活動扱いになった。用もないのになぜか律儀に集まる残りの4人であったが、用事で休むのが楽になったのは言うまでもない。

 その日もハルヒはバイトで休みとなり、谷口から妙な誘いを受けたので乗ることにした。
「よう、キョン。これからケーキ食いにいかねーか?」
「は? ケーキ?」
 甘い物は嫌いではないが、何が悲しゅうて野郎とケーキを食いに行かねばならんのだ。
「それがよ、どうもめちゃくちゃ可愛いバイトの子が入ったらしくてさ」
 目的はそれか。国木田は付き合うのか?
「僕も甘い物は好きだからね。このケーキ屋さんは前から行ってみたかったところだから付き合うよ」
「お前は例の部活もどきは今日休みなんだろ?」
「休みってわけじゃないがハルヒがいないからな。俺が休んでも誰も文句は言わん」
 なるほどな、となぜかニヤニヤ笑っている谷口を軽くこづいて、俺たちは学校を後にした。

 北口近くにある小洒落たケーキ屋に入る男子高校生3名というのは、ちょっと悲しい物があるのかもしれない。畜生、やっぱり誘いに乗るんじゃなかったか。ちょっと恥ずかしいぞ。
「いらっしゃいませー!!」
 なんとなくケーキ屋と言うよりは八百屋の方が似合っているじゃないか、というような声に迎えられた俺たちは、入り口で固まってしまった。
「げっ」
「あれ?」
「なんでお前がここにいる」
 誰がどのセリフを言ったのかはご想像にお任せする。
「何よ、キョンたちじゃない」
 ケーキ屋にはちょっと威勢のよすぎる声で出迎えたのは、我らがSOS団団長涼宮ハルヒであった。バイトしているのは知っていたけど、まさかここだとはな。古泉によく確認しておくべきだった。
「何? 男3人でケーキ食べに来たの? 寂しい奴らね」
 腰に手を当てて偉そうにそんなことを言う。おい、店員のしつけなってねーぞ。
「それよりキョン、団長不在だからって何勝手にサボってんのよ!」
 あー悪かった悪かった。それより早く席に案内しろ。
「テイクアウトじゃないんだ。分かったわよ、じゃ、3名様ごあんな~い!!」
 やっぱりケーキ屋の雰囲気とは合わないんじゃないのか? こんな店こそ朝比奈さんが似合う。
 ハルヒは既に立ち直った俺と国木田を伴い、まだ呆然としている谷口を引きずって席まで連れて行った。
「ケーキはショーケースを見て選びなさい。飲み物はこっちのメニューからね」
「お前は店員なんだからもうちょっと丁寧に対応したらどうだ」
「うっさいわね! あんたたち相手なんだからこれくらいで調度いいでしょ!」
 そう言ってメニューを俺に押しつけると、さっさとカウンターの奥に引っ込んでしまった。ちょっと予想外の展開に頭が追いついていない。
 とりあえず、飲み物を選ぶんだっけな?

「ねえ、谷口」
 メニューを開きながら、国木田がまだ口をぽかんと開けて奥のハルヒを目で追っている谷口に声をかけた。
「もしかして、噂の『めちゃくちゃく可愛いバイトの子』って、涼宮さんのことじゃないの?」
 国木田の言葉に俺は思わずなるほど、と思ってしまった。あの非常識な言動でつい忘れがちになるが、ハルヒは口さえ開かなきゃ誰もが認める美少女である。この店の制服は、萌え要素を省いて本来の機能を重視したようなメイド服なのだが、それもよく似合っている。
「……そ、そんな……。期待してきたのに……。涼宮だと知っていれば……」
 谷口は呆然から転落して悄然としているが、こいつは放っておこう。
「とりあえずせっかく来たんだから食べようよ。そんながっかりすることもないじゃん」
 国木田は一見親切に慰めているが、顔はメニューから離れていない。実はどうでもいいとか思ってるんじゃないか?
「ん~ ケーキもいいけどせっかくお店で食べるんだったらアシェットにしようかな……」
 やっぱりどうでもいいらしい。俺もケーキを選ぶことにしよう。ショーケースまで見に行かなきゃならんのか。

「おい、ハルヒ。お勧めはあるのか?」
 カウンターの中にいるハルヒに声をかける。
「そんなの全部に決まってるじゃない!」
 決まってねーよ。全部とか言われてそんなに食えるか。
「それもそうね。こっちのフルーツコンポートとかお勧めかしら。後はチーズケーキも美味しいわよ」
「そっか、じゃ、適当に注文取りに来てくれ」
「分かったわ」
 というわけで、俺はコーヒーとチーズケーキ、国木田はコーヒーとベリーパフェとか言う物を注文した。
「谷口は?」
「……うっ…ううっ……俺は何のためにここまで……」
「なに泣いてんのこいつ」
「気にするな。放っといてやれ」
「言われなくてもそうするわ」
 哀れ谷口。

 やがて注文した物が届き、俺と国木田は食べ始めたが、まだ谷口は泣いていた。いい加減ウザイなこいつ。
 そんな俺たちのところにまたもやハルヒがやって来たかと思うと
「ちょっと、キョン、これ」
 いきなり小さめのケーキの箱を俺に寄越した。
「何だよこれ」
 ハルヒが俺に物をくれるなんてことはない。もしかして、これを奢れと言う意味か?
「ち、違うわよ、ほら、妹ちゃんもきっと食べたがるでしょ! おみやげに持って帰ればと思ったのよ!」
 わざわざ妹に気を遣ってくれるのは嬉しいが、つまりその分会計に上乗せされているわけか。
「そ、それは特別! あたしの奢りだから!」
 なぜか横を向いてそう言うハルヒを俺は唖然として見つめた。
 ハルヒが? 俺に奢り?
 俺がわけも分からずにいると、国木田がクスクス笑い出した。
「涼宮さん、それ、チョコレートケーキでしょ」
 俺が驚いて国木田を見ると、なおもクスクス笑っている。
「涼宮さんも素直じゃないなぁ。妹さん宛なんかじゃないよね。キョンは分からないの? だって、今日は2月じゅう……」
「うわあああああん! お前ら勝手にしやがれええええええ!!」
 国木田が言い終わらないうちに、谷口は号泣しながら走り去ってしまった。何なんだ? あいつはここに何しに来たんだ?
「あーあ、見せつけるから谷口が拗ねちゃったよ」
「あーもう、うるさい! ほんとに何でもないったら!」
 ハルヒはハルヒでそう言うと、再びカウンターの奥の住人と化している。
 何なんだよ。わけが分からないのは俺だけかよ。
「せっかく甘い物食べてるのに、何かもう甘さ充分って感じだよね。コーヒーおかわりもらおうかな」
 などと言っている国木田に、俺は説明を求めた。
「キョンって、時々物凄く鈍感だよね。だから、今日は……」


 ハルヒが何をしたかったか、何てことはハルヒにしか解らない。
 だが、家に持って帰った箱の中身は、国木田の言ったとおりチョコレートケーキであり、今日の日付は2月14日であった。
 そのケーキを妹にくれてやったかって?
 そんなわけないだろ。全部俺が食ったに決まってるさ。



バレンタインに話がシフトしてしまうまで、こんなネタで考えてました。

「どう、美味しいでしょ!」
「お前は仕事中だろうが」
「お客さん少なくて暇なんだもの」
「そう言う問題か」
「評判通り美味しいよねぇ」
国木田は本気で甘い物が好きなんだな。
「……畜生、俺がどれだけ期待したかと……ううっ」
こいつはいつまで泣いている気だ。いい加減ウザイ。

「それにしても美味しそうね。一口寄越しなさい!」
「だからお前は仕事中……っておい! 勝手に食うな!」
ケーキを一口分すくい、口に入れようとした俺の手を掴むと平気な顔して勝手に自分の口に入れやがった、こいつ。
「うん、やっぱり美味しいわ!」
「だからお前は仕事中に何やってるんだよ!」
「キョン、突っ込むところはそこじゃないと思うんだけど……」
「うわああああん、お前ら(ry」

という展開を考えていたのだが、いくら何でもバイト中にこれは無い、と思って没www
甘さ的にはこっちの方が甘いとは思うんだがw


その後、スレでこんな会話がなされたのでちと紹介。
696=665=俺
涼宮ハルヒの憂鬱】涼宮ハルヒを語れ その79 より
695 名前: 名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日: 2008/02/10(日) 13:05:33 ID:pEvnIdop
>>665
GJ!
12時間以上もたって亀ですが。

ハルにゃん目当てで男性客が増えた事を知り、ハルにゃんがバイトの度に店に訪れるようになるキョンを幻視した。
後、ハルにゃんが客や店員にも見せない笑顔(キョン専用)を見せたりキョンがハルにゃんを
『ハルヒ』と呼び捨てなので彼氏だと噂が広まるのを幻視した。

696 名前: 665 投稿日: 2008/02/10(日) 13:16:55 ID:al3kZ3fV
出てくるつもりはなかったんだが、驚愕して出てきてしまった。
GJくれた皆様ありがとう。

で、>>695
俺がメモにこういうの残してるの知ってたんだろ? 見たんだろ???
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「ねえ、キョン、僕思うんだけどさ」
「何だ? 国木田」
「涼宮さんが「バイトの可愛い子」として谷口の耳に入るってことはさ、それなりに認知されてるってことじゃないかな」
「まー、谷口のその手の情報網がどういうもんかは知らんが、そうなんじゃないのか? あいつは見た目だけはいいからな」
「やっぱりね」
「何がやっぱりなんだ」
「あの店、ケーキ屋の割に男の客が多かったんだよね。それで、キョンはすっごい睨まれてたよ。気がつかなかったのかい?」
「マジか? 全然気がつかなかった……」

それ以降、ハルヒがバイトの日はなぜかキョンが必ず店に訪れるようになったとか。

「なんで毎回来るのよ!」
「うるせえ、客なんだから文句言われる筋合いはねえよ!」
「まったく、もう少し素直になれないんですか」
「ケーキおいしいですぅ」
「美味」
「って、お前らいつの間に!」



例えばキョンがケーキ選びに行ったとき、他のバイトの子が
「ちょっと、今『ハルヒ』っていってたよね」
「名前呼び捨てにするなんて、やっぱり彼氏?」
とか噂してたりとか。

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つーか、お前は俺か、と思ったので思わず出てきてしまった。
他人の電波で引っ張ってすまん。
本当に消えます。




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