キス
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 最初はいつもハルヒから。
 俺のネクタイを掴んで引っ張ったかと思うと、唇を奪われる。
 その強引さと俺が何をしているかなんてことはお構いなし、といった風なのは何ともハルヒらしくて、そのこと自体に愛しさが沸いてくる。

 続けるのはいつも俺。
 ハルヒの柔らかい唇の感触は俺の理性を後退させ、ただその感覚だけを味わいたくなる。何度も何度もついばむように軽く唇を合わせた後、できるだけ優しく舌を絡めると、ハルヒはそれに応えてくれる。
 いったい俺のなのかハルヒの唇なのか、あまりにも甘く溶けあって境界がわからなくなり、確認するために何度も触れては離れてを繰り返すと、今度はハルヒが我慢できなくなって舌を絡めてくる。
そうしてお互いの唇も舌も吐息もあたたかく溶けあって、ようやく俺は満足した。

 ただ唇を合わせる、それだけの行為がこんなにも幸せに感じられるのは、相手がハルヒだからだろう。他の誰相手でも、俺はこんな風にキスはできない、と断言できる。

 ふぅっと甘い溜息をついたハルヒの髪にも口付けて、いったい俺はいつからこうなっちまったのかね、と考える。
 こんなのは俺のキャラじゃない。
 それでも今俺の胸にしなだれかかっているハルヒの存在が、俺のちっぽけなプライドのような、建前とか「自分らしくないから」といった言い訳をすべて破壊してしまう。

 これではまるで中毒だな。だが、それも悪くはない。
 ハルヒの頬に手を当てると、潤んだ瞳で俺を見上げる。
 その瞳に吸い込まれるように、俺はまた唇を重ねた。

 これが中毒だと言うなら、一生中毒のままでいいよな。


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「いったい、いつまでああしているつもりなんでしょう」
「ふぇぇ、わたしたちがいること絶対忘れてますよね」
「彼らはお互いしか目に入っていない。通常空間でありながら局地的異時空間を無制限モードで発生させている。通俗的な用語を使用すると、桃色空間に該当する」
「まあ、これで世界が安定するなら僕としてはそれで良しとしましょう」
「もうお前ら勝手にしやがれですぅ」
「……バカップル乙」